ietochi

南海トラフに備える四国の家づくり|土地選びと耐震・制振のチェックポイント

南海トラフに備える四国の家づくり|土地選びと耐震・制振のチェックポイント

南海トラフ地震に備えた四国の家づくりのポイントは、「どこに建てるか(土地)」と「どう建てるか(建物)」の両面から備えることです。政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震が今後30年以内に起きる確率を「60〜90%程度以上」と評価しており(2025年9月公表・基準日2025年1月1日)、決して遠い先の話ではありません。

家を建てるとき、四国にお住まいなら一度は「南海トラフ地震が来ても大丈夫だろうか」と考えるのではないでしょうか。この記事では、液状化しにくい土地の見分け方、津波・浸水に強い立地の選び方、そして耐震・制振といった建物の備えを、四国の事情にあわせて整理しました。土地と建物のチェックポイントを知ったうえで、ご家族に合った家づくりを進めていただければと思います。

ハザードマップを家族で確認する様子

南海トラフ地震、四国ではどれくらい想定されている?

南海トラフ地震は、震度6弱以上の強い揺れと、太平洋沿岸への津波が想定されています。揺れが特に大きいと想定される県には徳島県・高知県が含まれます。津波の高さや到達時間は、同じ四国でも県や地域によって大きく異なります。

国や県が公表している四国4県の津波想定をまとめると、次のようになります。

最大津波高(想定) 津波1mの最短到達時間(想定)
高知 約34m 室戸市などで約3分
徳島 約24m 海陽町で約6分
愛媛 約21m 愛南町で約19分
香川 約5m 東かがわ市で約81分

※内閣府・各県の南海トラフ地震被害想定より。あくまで最大クラスの想定値で、地域や条件により異なります。

太平洋に面した高知県・徳島県南部は津波高が大きく到達も早い一方、瀬戸内海側の香川県は相対的に津波の想定が小さい傾向です。とはいえ、香川県でも低地の浸水やため池周辺、地盤のリスクは別途確認が必要です。「自分が建てたい場所はどうなのか」を地図で確かめることが、はじめの一歩になります。

【土地①】液状化しにくい土地の見分け方

液状化しにくい土地は、埋立地・干拓地・低地の盛土などを避け、粘土層や砂礫層など硬質で地下水位の低い地盤を選ぶのが基本です。見分ける確実な方法は、発生傾向図→ハザードマップ→契約前の地盤調査、の3ステップで段階的に確認することです。

液状化は、地震の揺れで地盤が水分を含んだ砂のようになり、建物が傾いたり沈んだりする現象です。建物をいくら頑丈にしても、土台となる地盤が弱ければ被害につながります。だからこそ、土地選びの段階での確認が欠かせません。

液状化が起こりやすい土地・起こりにくい土地には、おおまかな傾向があります。

  • 起こりやすい傾向:埋立地・干拓地、低地の盛土造成地、砂利を採取して埋め戻した土地、谷を埋めた盛土造成地などの人工的に手を加えた土地。湿地・後背湿地・三角州・河川沿いの低地も注意(国土交通省)。
  • 起こりにくい傾向:粘土層や砂礫層など硬質な地盤、地下水位が低い土地。

昔の地名にもヒントがあります。「沼」「潟」「新田」「川」など水辺を示す漢字が残る土地は、もともと軟弱な地盤だった可能性があります。古地図や自治体の資料で由来を調べてみるのも一つの方法です。

土地のリスクは、次の3ステップで段階的に確認すると分かりやすくなります。

  1. 国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」で、その地域の相対的な傾向(5段階)をつかむ
  2. 国土地理院「重ねるハザードマップ」や各市町村のハザードマップで、住所単位のリスクを確認する
  3. 購入したい土地が絞れたら、契約前に地盤調査で個別に判定する(マップより精密に分かります)

注意したいのは、発生傾向図はメッシュ単位の相対評価で、埋立地など人工的に改変された土地の細かい位置までは反映されていない点です。「マップで危険度が低い」は「液状化しない」と同じではありません。最終的には土地ごとの地盤調査で確かめる、という流れが安心につながります。

【土地②】津波・浸水に強い立地の選び方

津波への備えは、まず「津波浸水想定区域に入っていないか」「標高はどの程度あるか」を確認することから始まります。前述のとおり、高知県や徳島県南部の沿岸低地では到達時間が数分と短く、立地選びの重要度が高くなります。

立地を考えるときのポイントを整理します。

  • 重ねるハザードマップや県・市の津波浸水想定区域図で、検討地が浸水想定に入っていないかを確認する
  • 同じ市内でも、沿岸の低地より内陸・高台のほうが津波リスクは相対的に低い傾向
  • 津波だけでなく、河川の浸水想定(吉野川・那賀川・重信川など)やため池・低地の内水もあわせて確認する
  • 万一のときの避難経路・避難場所・標高も、住み続ける視点でチェックしておく

「この場所なら津波は来ない」と言い切れるものではありませんが、ハザードマップで想定区域や標高を確認し、リスクの低いエリアを選んでおくことは、長く安心して暮らすための現実的な備えになります。

四国4県のハザード傾向

四国4県のハザード傾向は、太平洋側の高知・徳島南部で津波リスクが大きく、瀬戸内側の香川・愛媛北部は相対的に小さいのが大枠です。ただし内陸でも河川浸水やため池・低地の内水は別途確認が必要です。県ごとの特徴を、ハザードマップとあわせて見ていきます。

徳島:徳島市東部や沿岸の低地で津波想定、吉野川・那賀川の浸水想定があります。藍住町・北島町など内陸の住宅地は子育て世帯に人気です。

徳島の建売・分譲住宅

香川:瀬戸内側で津波の想定は相対的に小さめですが、低地の浸水やため池周辺、地盤の確認が大切です。郊外の三木町・綾川町・坂出市などは土地が抑えられる傾向です。

香川の建売・分譲住宅

高知:南海トラフ地震の津波想定が四国で特に大きいエリアです。高知市・沿岸低地では立地選びが最重要で、近郊の南国市・香南市・いの町なども含めて高台や想定区域外を検討する価値があります。

高知の建売・分譲住宅

愛媛:今治・西条・新居浜など燧灘・瀬戸内沿岸の津波想定、重信川などの河川浸水を確認しましょう。松山市は土地が高めのため、東温市や東予で広さを確保する選び方もあります。

愛媛の建売・分譲住宅

私たちは四国で土地・建売を多くお取り扱いしてきました。エリアごとのハザードや土地事情を踏まえ、ご家族に合った立地をご一緒に考えます。

耐震・制振・免震の仕組みをあらわした図解イメージ

【建物】耐震・制振・免震の違いと耐震等級

土地が決まったら、次は建物の備えです。地震に強い家づくりには「耐震」「制振(制震)」「免震」という3つの考え方があり、役割が異なります。

  • 耐震:建物自体を強くして、揺れに耐える。住宅の基本となる考え方
  • 制振(制震):ダンパーなどの装置で、揺れのエネルギーを吸収して軽減する
  • 免震:建物と地盤の間に装置を設け、揺れを建物に伝えにくくする

建物の地震への強さは「耐震等級」で表され、住宅性能表示制度で1〜3の3段階が定められています。

耐震等級 強さの目安 考え方
等級1 建築基準法レベル 想定の地震で倒壊・崩壊しない最低限の基準
等級2 等級1の1.25倍 学校・病院など避難所に求められる水準
等級3 等級1の1.5倍 消防署・警察署など防災拠点に求められる水準

一般に、等級1は大きな地震のあとに建て替えや住み替えが必要になることもあるのに対し、等級3は損傷が比較的小さく、地震のあとも住み続けやすいとされています。南海トラフ地震が想定される四国では、住宅性能を重視する方ほど等級3を一つの目安にされています。

制振ダンパーという選択肢

南海トラフ地震では、本震のあとに大きな余震が続く可能性も指摘されています。繰り返しの揺れを考えると、「建物を強くする耐震」に加えて「揺れを吸収する制振」を組み合わせる考え方が注目されています。

制振ダンパーには、次のような特徴があります。

  • 免震に比べて導入コストを抑えやすい
  • 装置の種類によってはメンテナンスが簡単、または不要
  • 建物の構造体に取り付けるため、地盤の強さに関係なく導入できる

耐震等級3+制振ダンパー」は、強い揺れに耐えつつ、繰り返す揺れによる建物のダメージを抑えることをめざす組み合わせです。ただし、制振の効果は装置の種類や設置方法によって異なります。ご検討の際は、採用している装置の仕様や効果のデータを確認されることをおすすめします。

高台に広がる新しい住宅街

防災に強い家で使える制度(2026年度)

性能の高い家は費用がかかる分、税制や補助の面で支援を受けられる場合があります。2026年度の主な制度を整理します。

  • 住宅ローン減税:適用期限が2030年末まで延長されています(2026年6月時点・要件あり)
  • 長期優良住宅の優遇:登録免許税や固定資産税の軽減措置が受けられます(固定資産税の軽減期間は一般住宅より長く設定)
  • 新築の補助金:GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅が対象。長期優良住宅・ZEH水準は子育て世帯・若者夫婦世帯が対象です

これらの制度は要件・予算・期限によって内容が変わり、審査もあるため、対象とならない場合もあります。利用を検討される際は、最新の要件をご確認ください。私たちは太陽光・ZEH・住宅ローンをまとめてご提案しており、制度面もあわせてご相談いただけます。

よくある質問

自分の土地が津波や液状化のリスクがあるか、どう調べればいいですか?

まずは国土地理院の「重ねるハザードマップ」に住所を入力し、津波・洪水・土砂・液状化のリスクを確認します。あわせて、お住まいの市町村が公表している津波浸水想定区域図やハザードマップもご覧ください。最終的な地盤の強さは、土地ごとの地盤調査で確かめるのが確実です。

耐震等級は3でないとだめですか?

等級1でも、建築基準法が想定する地震で倒壊しない基準は満たしています。ただし、大きな地震のあとも住み続けやすいのは等級3とされており、南海トラフ地震が想定される四国では等級3を目安にされる方が増えています。ご予算やお考えに合わせて選ぶとよいでしょう。

耐震と制振、両方が必要ですか?

耐震は住宅の基本で、まず欠かせません。制振はそれに加えて揺れを吸収し、繰り返しの揺れによるダメージを抑える役割です。南海トラフ地震では余震も想定されるため、耐震等級3に制振を組み合わせる考え方が注目されています。

防災に強い家にすると、補助金や減税は受けられますか?

長期優良住宅やZEH水準住宅などは、住宅ローン減税や登録免許税・固定資産税の軽減、補助金の対象になる場合があります。ただし要件や予算枠、期限があり、審査も必要です。最新の制度内容をご確認のうえ、ご検討ください。

まとめ

南海トラフ地震に備えた四国の家づくりは、土地と建物の両輪で考えることが大切です。

  • 土地①:液状化しにくい土地を、発生傾向図→ハザードマップ→地盤調査の3ステップで確認する
  • 土地②:津波浸水想定区域や標高を確かめ、リスクの相対的に低い立地を選ぶ
  • 建物:耐震等級3を目安に、繰り返しの揺れに備えて制振ダンパーも検討する
  • 制度:長期優良住宅・ZEH水準なら減税・補助の対象になる場合がある(要件は最新確認を)

いえとち本舗は四国で土地・建売を多くお取り扱いし、太陽光・ZEH・住宅ローンまでワンストップでご提案しています。ハザードや地盤を踏まえた立地選びから、耐震・制振の家づくりまで、ご家族の「安心して長く住める家」をご一緒に考えます。気になる物件やエリアがあれば、お気軽にご相談ください。

出典・参考

  • 南海トラフ地震の発生確率・長期評価: 地震調査研究推進本部(地震本部)
  • 津波高・到達時間・被害想定: 内閣府 防災情報(南海トラフ巨大地震対策)
  • 液状化の地形区分・発生傾向図: 国土交通省「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」
  • ハザードマップ(津波・浸水・地盤): 国土地理院「重ねるハザードマップ」および各県・市の公表資料

※本記事の数値・想定は上記の公表資料に基づきます(2025年時点)。想定は更新されるため、最新情報は各機関の公表をご確認ください。